庄原市のお隣り広島県三次市の武村 司(たけむら つかさ)くんは、この春から小学5年生。学校では、ドッチボールなどをしたり、とにかく体を動かして遊ぶのが大好きだそう。彩花のクラスメイト役で出演しました。
 2月26日に行われた渡邊監督の交流会でインタビューをさせていただき、その後、実際に映画を見ての感想などをメールでお話しいただきました。
 普段からよくアクション映画を見ていて、どうやって撮影をするのか興味を持っていたという司くん。中国新聞での子役オーディションの記事を見て、「もし合格したら撮影が見られる」と思ったそうです。そしてオーディション当日、最初は緊張していたけれど、途中から楽しく審査を受けられるようになっていたそう。しかし、残念ながら最終審査で不合格に・・・。「落ちてしまって大ショックでした。『これで、撮影が見られないんだな』と思いました」。お母さんは、「家に帰るまでは無言のままで、目には涙を浮かべていました。『泣いていいよ』と声をかけても歯を食いしばったまま。落ち込んでいる、というより、司の台詞ではありませんが『はぶててる』という状態でした」と振り返ってくださいました。
※はぶてる・・・広島弁で「すねる」、「ふくれっ面をする」などの意味。「『はぶてる』って方言だったの?」と言うくらいなじみのある言葉です。
 オーディションから数日後、中国新聞にエキストラ募集の記事が載っているのを見つけた司くん。「エキストラでもいいから!」と再び応募をしました。
 そして、7月18日にエキストラ説明会がありました。「その時、助監督の武正晴さんが、最終審査に残っていたのを覚えてくださっていたので、とても喜んでいました」(お母さん)。しばらくして「クラスメイト役で出ていただくことになりました」と電話がありました。「ビックリしたけど、うれしかったです」(司くん)。
 そして、8月から撮影が始まりました。
 バスの車内のシーンを何度も往復しながら撮影をしたとき、少し車酔いをしてしまった司くんに、島本順平先生役の松岡俊介さんが、「もう少しだから、かんばれ!」と声をかけてくださってとてもうれしかったそう。その後、熊野神社の参道を歩くシーンでは渡邊監督が「一人一人が主役なんだから、がんばれ!」と声をかけてくださり、「暑くて、バテそうになってたけど、元気が出てきました」。また、大屋小学校での下校シーンの撮影の日。早く到着したので、現場には誰一人いませんでした。そこへ、井川遥さんと松岡さんが到着。松岡さんはすぐ司くんに「おはよう、司、誰だかわかるか?」と声をかけてくださったそう。「気さくでやさしい方だなと思いました」(司くん)。このときの松岡さんはメガネをかけて、髪は前に下ろされていて順平先生とはイメージが違うので一瞬「誰かな?」と思いました(お母さん)。
 教室のシーンでは、台本にはなかった「司、お前配れや」という島本先生の台詞があります。「よく撮影の合間に『司〜』と話しかけてくださっていたようです。息子は大好きな松岡さんがセリフの中で、しかも実名を呼んでもらい、大変喜んでいました」(お父さん)。
 映画撮影に興味があったという司くん。実際の撮影を前にしてどんなことを感じたのでしょう。「まずカメラの大きさにビックリしたけど、全部がもの珍しく新鮮だったです。教室のシーンの撮影で、僕の近くに大きくて猫じゃらしの様な物が近づいたときに、まだそれがマイクだとは知らずに『何だろう?』と見たら、『カット!よそ見しないで、前を向いといて下さい。』と言われてNGを出してしまいました。間近で見れてうれしかったけど、大変な仕事なんだなと思いました」。
 「撮影が終わってしばらくは、『先生の様な役者になりたい』と思ったし、もう先生に会えないから淋しかったです」という司くん。将来の夢は・・・?「小さい時から廃材などを使って自分で工夫をして物を作ることが大好きです。せっかくこの世に生まれてきたので、何か発明して世界に名前を残したい。今は発明家になりたいと思っています」。
 西城町での特別先行上映を見にいらっしゃった司くんご家族。「正直、わが子がどの様に映し出されているかハラハラドキドキで気持ちにゆとりがなかったですね。司本人はバスの中での台詞『ヒナゴン丼!』のシーンはトイレに行っていて、見れなかったので、また庄原へ見に行きました。庄原ではゆとりを持って落ち着いて見ることができ感動しました。広島へも見に行きます」。そして、「映画は一生に一度の貴重な体験となりました。『ヒナゴン』に関わることができたのは一生の宝です。大勢の方に大変お世話になり、ありがとうございました」と締めくくってくださいました。
 司くんは現在、YMCAのアウトドアというプログラムに入っていて、水泳、テニス、バスケットボールなどをしているそう。「学校では、高学年の仲間入りをして、放送委員になりました。この1年間6年生のお兄ちゃん、お姉ちゃんに色々と教えてもらいながら、放送委員の役割をがんばりたいと思います。今年もドッチ、バスケクラブでがんばります」と気合いいっぱいの決意を話してくれました。