西城町の中島優樹(なかしま ゆうき)くんは、西城町の北部にある小鳥原小学校の6年生。小学5年生の彩花のクラスメイト役で出演しました。
 中島くんは、その体験について学校で作文に書き、それが「第57回鈴木三重吉賞」の作文の部で佳作に入賞しました。まずはその作文をご紹介します。
初めての映画撮影
                   六年 中島 優樹
 「今から撮影を始めまーす。」
と助監とくの声が、撮影現場の教室に響いた。八月からぼくの町で『いとしのヒナゴン』の、映画の撮影が始まった。ぼくは、その撮影に行った。この撮影の日まで、ぼくにはいろんな事があった。
 六月に、『いとしのヒナゴン』という映画の子役の募集があった。ぼくは、母さんに、
「やってみたいなあ。」
と、話したら、父さんと相談して申し込み書を書いてくれた。写真も撮って、申し込み書を送ったら見事に、書類選考に合格し、テレビ局であるオーディションに行くことになった。最終予選までは通過したが、最後の最後で、残念ながら落ちてしまった。
「せっかくここまで合格したのに。」
悔しくて悔しくてたまらなかった。一緒について来てくれた父さんや母さんが、
「おしかったのお」。
と励ましてくれた。一週間ぐらい、くやしい気持ちが続いた。
 しかし、何日かたって家に、電話がかかってきた。映画のスタッフの人のようだった。
「優樹、撮影に出てって電話があったぞ。」
と、電話に出た父さんに言われて、ぼくは、うれしい気持ちを押さえきれなかった。子役ではないが、オーディションを受けていたので、エキストラよりも優先されたようだ。ぼくは撮影の日が、とても楽しみだった。
 夏休みに入って撮影が始まった。撮影現場の教室には、十七人の子どもが集まっていて、ぼくは窓側の一番後ろの席に座った。撮影は最初に、自己紹介の後、説明があった。そして、テストがあった。実際に動いてみたり打ち合わせをしながら撮影の準備をする。次にリハーサル。リハーサルは、本番と全く同じように話したり、動いたりしてみるのだ。
 そしてやっと本番になる。
大屋小学校での教室シーン
「よーい、スタート。」
カチンッという合図に、少しドキドキしたが黒板を見ながら、ノートに書くふりをした。一回カットになり、また同じ事をくり返した。本番は、すごく緊張した雰囲気で、スタッフの人もみんなシーンとしている。
「ぼく、今、映画の撮影をしているんだなぁ。」
と心の中で思った。
「カット。」
大きな声が響いた。ぼくはオッケーなのか、もう一回なのかドキドキしながら監とくの口から出る言葉を待った。
「オッケー。」
その言葉を聞いて、友だちと一緒に、喜んだ。教室の場面だけで四時間もかかっていた。
 ぼくはこの夏、すごくたくさんの思い出ができた。くやしいこともあったけど、うれしいこともドキドキしたこともあった。
 きっと将来、忘れることのできない思い出になるだろう。

 一度はオーディションで涙をのんだものの、後日スタッフの方からの電話で復活・・・そんな優樹くんならではの体験と心の動きが、作文の入賞につながったのかも知れません。ご両親は「最高の思い出になったね、良かったね」と話してくださったそうです。
 学校では児童会長、大好きなサッカークラブでは副キャプテンを務めるしっかり者の優樹くん。「映画に出たことで友達がたくさんできてよかった。自分がどんな表情で映っているのかとても楽しみです」と締めくくってくれました。