広島市にお住まいの山城翔大(やましろ しょうた)くんは、この春で小学校5年生。30年前のイッちゃんの仲間、ヤマ役で出演しました。翔大くんは、お母さんが西城町出身で、おじいさんは今でも西城町にお住まいです。
 おじいさんの家に帰省されていたときにお話を伺いました。
 中国新聞でオーディションの記事を見たのがきっかけですが、当初はそんなに乗り気ではなかった翔大くん。でも、おじさんとおじいさんに強く説得されて応募を決めました。オーディションでは、次々と難関を突破してついに最終審査も合格。
 「(オーディションは)結構つらかったけど、合格できてよかった。そのときのインタビューが、テレビで放送されたり、新聞に掲載されたりしました。」
 それ以降は、学校で上級生に声をかけられることが多くなったそうです。そして、台本が送られてきて、8月のクランクインに向けて、30年前の子どもたちを演じる他の5人と一緒にRCCで練習を重ねました。
 そしていよいよ西城町での撮影が始まりました。相次ぐ台風の襲来で、撮影スケジュールがめまぐるしく変わりました。
 大トチの木の根元で、イッちゃん以外の4人が眠ってしまうシーンの撮影でのこと。深夜に及ぶ撮影は、当時小学4年生の翔大くんにとっては体力的にかなりきついことでした。なので、撮影の途中、本当に眠ってしまった翔大くん。そのおかげで(?)助監督の武正晴さんに「山ちゃん、今のシーン、GOOD!」とほめられました。でも、翔大くん本人は何を言われているのかよくわからなかったそうです。
 その日の撮影が終わったのは深夜12時・・・それからもなかなか寝付けず、結局寝たのは3時。でも翌朝は6時から撮影開始という厳しいスケジュールを立派に乗り越えてきました。
 翌日のとうもろこし畑のシーンはやはり本物の畑を使っていることもあり、とても歩きにくかったそう。「でも撮影終了後はとうもろこしを好きなだけ持って帰っていいよと言われ、かばんにいっぱい詰めて帰りました。」
 また、大戸小学校でのドベのパンツ事件のシーンはテスト、リハーサル、本番とずっとグラウンドを走り続けていたのでかなり疲れたそう。「でもその日は、地元の人がおいしいそうめんを作ってくれてとてもうれしかった。寒い日には豚汁を作ってくれたり、町の人がいろんなおいしいものを用意してくれたのが心に残っています」。
 出来上がった映画は、3月の広島市での関係者試写会で初めて見たそう。「ちょっと恥ずかしかったけどうまくできていたと思う。映画の撮影は、大変なことがいっぱいあったけど、またやってみたいという気持ちがある。映画は作る方ではなくやっぱり出演するほうがいい。」と将来への意欲を見せてくれました。
 もうすぐ広島県内で公開されます。「上級生の人が『見に行くよ』と声をかけてくれるのが嬉しいです。」

 最後に、翔大くんから渡邊監督へのメッセージです。「映画の中では僕とススムくんの現在が描かれていないんだけど、どんな大人になったのか知りたいなって思います。」
 私は、とてもしっかりとした受け答えの翔大くんに思わず「きっと都会へ出て成功してるんでしょうね」と答えてしまいました。
オーディション合格後、携帯電話で喜びの表情を撮影
大戸小学校での撮影風景